第二次世界大戦でアメリカ軍が使った暗号機で、
暗号機の傑作と高い評価を受けた機械です。

 暗号は古代エジプト、の昔から使われていましたが、
第二次世界大戦になると、世界的規模に展開する部隊に
無線による大量の通信文を送るため、それまでの、
乱数表に依る暗号では対応仕切れなくなり、
各国の軍隊では、機械化が進められました。

ドイツ軍では有名な、エニグマ暗号機、
日本軍は、エニグマを手本にした97式欧文印字機、
アメリカ軍ではこのM-209暗号機等が採用されました。

M-209は、スエーデン人、ヘーゲリンが開発した機械で、
タイプライターメーカーのスミスコロナ社が生産を担当しました、
小型で高性能、電気など使わず、歯車等の、機械機構のみで動作します、 

 この一台で普通文を暗号化、又、受け取った暗号文を元の普通文に戻す、(復号化) 
のどちらもでき、結果を紙テープに印刷出力出来ます、

 通信をするには、双方この機械を持っただけではダメで、
同じパスワードを機械に入力しなければなりません
パスワードはアルファベット6桁でその組み合わせは一億通り以上あります。

 また沢山ある内部の歯車は、それぞれの歯数が共通の素因数を持たない、
歯数に設定されており、数学的方法による解読を困難にしています。

 M-209暗号機は小型で高性能であったため、第二次大戦後も、
朝鮮戦争、ベトナム戦争でも使用されましたが
さすがにこれ以降は、暗号がコンピューターのソフトウエアで作られるようになり、
この機械も役目を終わりました。

 不要になったこの機械は、普通の軍用品のように、民間に払い下げられる事は無く、
すべて破壊されたはずなのですが、少数の機械が後年出回り、
暗号機械コレクターを喜ばせる事になります。

( 欧米には、暗号機械の熱心なコレクターが多いようです。 )
 
暗号機 アメリカ陸軍 M209
操作例 上段は I AM A JAPANESE BOY を暗号化した例です
下段は これを、元の文章に戻した物(復号)です

通常、暗号文は、5文字一語として送信されますので
この機械は自動的に5文字ごとにスペースが入ります
また、暗号化する際、平文のスペースに対しても一文字
割り当てるので、文字数は変わってきます。
付属品の油差しと
インクローラー