シャッターの布幕は、かなり長い物で
シャッタースピードに応じた4種類のスリットが一定間隔ごとに
開けられています、 写真のスリットは1/90秒です

巻き上げると、最初に1/90のスリットが表れ、この状態では、
シャッター巻き軸に内蔵されたスプリングの反発力も弱く、
シャツターを切った時の幕の移動速度は遅く、よって、
低速シャッターとなります。

さらに巻き上げると、1/180のスリットが表れます、
このスリットは1/90より細くできています、この状態でシャッターを切ると
スプリングの反発力はより大きくなっていて、幕の速度は速くなります

この様に、巻き上げノブを回していくに従い、シャッタースピードが早くなる
のですが
この理由は、シャッター幕のスプリングのテンションが大きくなると共に、
より狭いシャッタースリットが表れて来るからです。

この後ろに、ガラス乾板をセットします。
海軍 手持式航空写真機 二五糎
シャッター巻き上げノブの上に
シャッタースピード表示窓があります

現在、最速の1/750
日本軍、初期の航空偵察用写真機です
製造は、六櫻社 (小西六)
木製ボディーに布張りの上塗装されています。

銘板に錨の刻印が有りますので
海軍に納入された物です。


レンズ    ヘキサーSer.1  1:4.5  f =25p
シャッター  布幕フォーカルプレーン
シャッタースピード  1/90  1/180  1/375  1/750
ガラス乾板 13p×18p カビネ判
レンズフード上部の絞りレバー
絞りは 4.5  6.3  9
レンズフード内に濃淡2枚のフィルターが用意されているのですが
これが、とても凝った機構で感心します

レンズフードの左右にノブがあり、右のノブを回すと淡色フィルターが
左のノブを回すと、濃色フィルターがスライドして、セットされます。

一方のフィルターがセットされた状態では、他方のフィルターは
機構的にロックされて動かすことが出来なくなっています。
レンズとフィルターユニット

レンズフードの先端開口径より大きいので
これを取り外すのは、知恵の輪を外すような苦労をします、

真鍮製で重量も大きく、コストも掛かったと思います。
木製グリップの後ろ側にシャッターレバー

最後部のメッキプレート部分はシャッターユニット
丸いノブはシャツター巻き上げ用
シャッターユニットは本体から
簡単に取り外すことが出来
整備はやりやすくなっています
シャッターメカニズム

巻き上げたシャッター幕のテンションを
保持、シャッターレバーで解除するだけの
簡単な物です

低温下では、シャッターの動きが遅くなるので
スプリングのテンションを調整しシャッタースピード
を補正する機構が付いています。
露出器(シャッターユニット)
収納箱
ガラス乾板6枚を収容する乾板倉

手前がカメラ側
乾板倉はシャッターの後ろ側に取り付ける
一枚撮影後 取っ手を持って引き出した後
再びもとの位置に押し込むと、撮影済みの
乾板は、自動的に、乾板倉の一番後に送られて
新しい乾板が前面にセットされる、

これを6回繰り返すと、もう新しい乾板は無くなるので
撮影済みの乾板に二重露光しないよう
ロックが掛って、動かなくなります、

ここら辺の機構はうまく考えられています。
撮影枚数カウンター
戦時中の雑誌 昭和17年