江戸時代の測量器    
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見  盤  台
   江戸時代の測量道具で見盤台です
方位角と上下角の測定ができます

木製で組み立て式となっていて、設置後
鉄製杭を打ち込んで固定します

望遠鏡のようなものが付いていますが
レンズは無く微小な穴が開いています。
   収納箱
分見町見道具とあります
   江戸時代には測量の事を
分見術とか町見術とか呼んでいました。
   

 
中  方  儀   
   江戸時代末の測量器
上下角と、羅針盤により方位角
が測定できる。

中方儀としては初期の型式。

望遠鏡のような照準器の中には
レンズは無く、針が筒の中心に突き出ています
 
中  方  儀
江戸時代、文化、文政期ころには、金属加工に従事する
飾り職人の技術は高度に発達
西洋から伝わった書物を参考に望遠鏡、測量器械等を
見よう見まねながら作り出していました

これは江戸時代末期頃に作られたと思われる測量機械、
中方儀です、中方儀とは 羅針盤と方位、
高度角を計る、望遠鏡を組み合わせた物で、
現在、セオドライトとか、トランシットとか呼ばれる機械です、

これより大型で天文観測なども出来る機械は
大方儀と呼ばれ、また、望遠鏡の無い、羅針盤と
視準器だけの物は小方儀と呼ばれました。

材質は真鍮の手作りです、望遠鏡の筒などは、
真鍮板を丸めてロー付けし、ロクロで仕上げて
あります、こんな調子ですべての部品が、叩き出し、
ヤスリがけ、ロー付け、ロクロ加工で
作られていて、とても手が掛かっています
文字盤の部分は銀色で、目盛りが赤く書かれていますが、
これは、真鍮板に目盛りと文字を、
微少なタガネで刻印し、錫メッキで仕上げ、
目盛りの窪みに朱が施してあります、
高度角の目盛りは、朱が取れて無くなっていますが、
羅針盤の目盛りはガラスで保護されていて
健在です。

用途ですが、当時の測量術の書物には、
中方儀を使い、三角法に依る、川幅の測定、
山の高さの測定、建物の高さの測定等が
解説されていますので、土木工事、建築工事
田畑の検地などに、使われたと思います。

小  方  儀  そ の 1
江戸時代最もポピュラーな測量器具、
杖の上に羅針盤を取り付けた物です

杖先椀架羅針とも呼ばれています

杖は木目からすると、樫などの堅木のようで、
拭き漆で仕上げてあります

下部の石突きには鉄板が巻いてあり、
なかなか丁寧な作りです。

伊能忠敬の銅像もこれを持っており、地図作りから
土木工事まで、あらゆる測量に使われた物です。


木の杖の上部は、叩いた跡があるので
地面に打ち込んだ後、
羅針盤を取り付けて
方位を見たのだと思います。



全高 125p
羅針盤部分
磁針の軸受けには、高価な水晶製軸受けが使われている。
磁針の軸受けは羅針盤の精度を決める重要な部分です
オランダから水晶の軸受けが伝わると、日本でも
水晶製の軸受けが作られるようになり、精度が向上したのですが
高価なため、高級な羅針盤のみに使われました。
  一般の真鍮製軸受け。 
   予備の磁針
予備部品として磁針が販売されていました
当時の包み紙もあります。
   
 
 小  方  儀  そ の 2        大 野 規 行 の 測 量 器
   こちらの小方儀は羅針盤部分だけです
実は、杖の部分が残っている小方儀は、ほとんど無いのです
明治になって役目を終えた後、高価な羅針盤は大切に保存されたのですが
杖は所詮木製なので、価値は認められず、そのうち、無くなって
しまったのでしょう
   羅盆の裏側に作者銘が彫られています

文政十二年 (1829年)
江府住
規行


作者は、江戸の大野規行、

彼は伊能忠敬の測量器具を製作したことで知られている
   この羅針盤にも、水晶軸受けが使われている。
   

象  限  儀
土地などの高低角を計る器具で、
小型の物なので、小象限儀とも言える物です

材質は真鍮で出来ており
この形状は、江戸時代の小型象限儀の典型的な物です

 傾  斜  計  
   建築、土木工事などで
水平、勾配を測る傾斜計
重錘と指針で、角度を表示します
   作者は、江戸 神田の
測量機械製作者、星政則
   

半 円 方 位 盤
天明年間の箱書きが有る、木製 半円方位盤です

西洋では、1700年代から、ほぼこれと同じ構造の真鍮で作られた
測量機が沢山作られています

オランダから輸入された、書物、或いは、実物を参考に
木製で作られたものと思います。

間   縄
現在の巻き尺です
麻縄に、1間ごとに目印の木札が取り付けられています。


 
製 図 用 具   
   分度器
  分度器
   

曲尺

   鎌分度

曲尺と分度器を組合わせた様な物
   目当ての針
   分度器の中心に針穴がある
   鎌分度の基準点に針穴がある
   複雑な地形図から面積を測定するには
計算では困難なので、方眼を用いて測定する

木枠に、極細の黒い絹糸が
一分ごとに張られていて、さらに
五分ごとに赤い糸が張られており
「フルイ」のようになっている

地形図に方眼を重ねて、マス目の数を数える
中途半端にかかるマス目は1/2と数える

正確ではないが、近似値を簡単に求めることが出来る。
   
   当時も測量の基本は、三角法なので
三角関数表が出版されていました
当サイトでも紹介しています、
江戸時代の「割円表」
   文化11年 伊能忠敬測量隊を迎え入れた村方文書
当サイトで紹介しています。


伊能忠敬迎接村方文書